スワンレイク

言わずと知れたバレエの名作、チャイコフスキーの「白鳥の湖」。
ですが、私の中で真っ先に浮かぶのは、マシュー・ボーン演出の「スワンレイク」です。
まだ先なんですが今秋また来日するそうで、今から楽しみにしています。

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過去3回来日していますが、03年の初来日公演の時に姉に誘われて見に行ったのが初体験でしたわ。うわあ、10年経ってた…
この舞台は古典「白鳥の湖」を下敷きにしたコンポンテラリー・バレエです。男性が「白鳥」を踊るという演出の奇抜さに留まらず、オリジナル・ストーリーとリンクしながらも新しい物語として完成させており、ブロードウェイに進出したりいろんな賞をとったりしています。映画「リトル・ダンサー」では、オリジナル・キャストのアダム・クーパーが主人公の成長した姿としてザ・スワンのみごとな跳躍を見せています。

かんたんなストーリーですが。まず有名なオリジナル白鳥の湖。wikiより。

序奏
オデットが花畑で花を摘んでいると悪魔ロットバルトが現れ白鳥に変えてしまう。

第1幕
王宮
ジークフリート王子の21歳の誕生日。王子の友人が集まり祝福の踊りを踊っている。そこへ王子の母が現われ、明日の王宮の舞踏会で花嫁を選ぶように言われる。まだ結婚したくない王子は物思いにふけり友人達と共に白鳥が住む湖へ狩りに向かう。

第2幕
静かな湖のほとり
白鳥たちが泳いでいるところへ月の光が出ると、たちまち娘たちの姿に変わっていった。その中でひときわ美しいオデット姫に王子は惹きつけられる。彼女は夜だけ人間の姿に戻ることができ、この呪いを解くただ一つの方法は、まだ誰も愛したことのない男性に愛を誓ってもらうこと。それを知った王子は明日の舞踏会に来るようオデットに言う。

第3幕
王宮の舞踏会
世界各国の踊りが繰り広げられているところへ、悪魔の娘オディールが現われる。王子は彼女を花嫁として選ぶが、それは悪魔が魔法を使ってオデットのように似せていた者であり、その様子を見ていたオデットは、王子の偽りを白鳥達に伝えるため湖へ走り去る。悪魔に騙されたことに気づいた王子は嘆き、急いでオデットのもとへ向かう。

第4幕
もとの湖のほとり
破られた愛の誓いを嘆くオデットに王子は許しを請う。そこへ現われた悪魔に王子はかなわぬまでもと跳びかかった。激しい戦いの末、王子は悪魔を討ち破るが、白鳥たちの呪いは解けない。絶望した王子とオデットは湖に身を投げて来世で結ばれる。

ひどい話だなー。まあ、演出次第でめでたしめでたしバージョンと、死んで来世で幸せになろうぜバージョンがあります。2幕の4羽の白鳥の踊りとか3幕の黒鳥オディールのくるっくる回る超絶技巧の踊りとかが有名ですね。

さて、マシュー・ボーン版といえば、白鳥は男性ですので、当然展開も違います。

第一幕
王宮
まだ幼い王子は、一人きりの広いベッドで大きな白鳥の悪夢を見る。うなされる王子の様子を見にきた母にすがるが、拒絶される。
成長した王子は公務に励むも母である女王は若い取り巻きと遊んでばかり。
街で知り合ったガールフレンドに救いを求めるが、彼女を追って行ったナイトクラブでは冷たくあしらわれて泥酔してつまみ出され、絶望の挙句公園で命を絶とうとする。

第二幕
公演の湖のほとり
王子が公園の湖に身を投げようとした時、月明かりの中で一羽の白鳥が現れる。
優美さや繊細さというイメージとは程遠い、力強く雄々しく羽ばたく猛々しい姿。力強いジャンプ。やがて白鳥の群れと共に舞ううちに生きる気力を取り戻す王子。遺書を破り捨てて王宮に戻る。

第三幕
王宮の舞踏会
宮廷では王子の花嫁を探す舞踏会が開催されていた。
世界各国の王女たちが華々しく踊りを披露する中に白鳥にそっくりな黒鳥(ザ・ストレンジャー)があらわれ、各国の王女や女王を誘惑する。王子は彼に近づくが拒絶される。母の、彼女の、黒鳥の、世界の悪意に耐えられなくなった王子はやがて崩壊する。

第四幕
王宮
絶望と孤独の中にいる王子。やがてベッドや部屋のそこかしこから悪夢のように白鳥が沸き出しはじめる。例の白鳥も現れ、歓喜の踊りを踊る王子。だが王子と共にいることを選択した白鳥は、群れの他の白鳥から激しい攻撃を受ける。白鳥と王子は次第に傷つき、倒れる。
翌朝幸せそうな表情でこと切れている王子が発見され、女王ははじめて王子をかき抱いて泣くのだった。

王子は母に愛を求めるも、まーとにかく拒絶され続けます。母が王子の生前に愛情を表現することは決してありません。物語に出てこない王子の父と母の間に確執があるのかもしれませんね。愛情に飢えた孤独な王子が主人公のお話なのです。
王子と白鳥の間にあるのは恋愛なのかと深読みもできますが、必ずしもそうとも言えないストーリーでもありますね。父性や母性のメタファーだとかなんだとかね。まあ私は本質的には腐女子ですから、このマシュー・ボーン版のはどうとでも取れるがまあ萌えるよね!といったところにロマンを覚えずにはおられません。
ラストは悲劇ではありますが、ハッピーエンドと解釈する方が好きです。

舞台としてはとにかく白鳥がかっこいいです。
白鳥が王子と踊るわけなので、当然、王子を白鳥がリフトしたりします。男性二人のパドドゥなんですが、これがなんとも不思議に美しいんですよね。女性とのダンスでは決してあり得ない力強さ。男性的な美を追求した「鳥」なのです。
白鳥と言えばたおやかな女性性をあらわすという概念が根本から覆されて痛快です。

今回のザ・スワン(白鳥)/ザ・ストレンジャー(黒鳥)を演じるのはマルセロ・ゴメスさん。アメリカン・バレエ・シアターのソリストでブラジル出身の方です。
なんとも溢れ出るラテンの色気…こりゃあ見逃せんわー。

アダム・クーパーがかっこいいDVDも演出がよく、バレエなのに映画のように楽しめますよ。